伊勢型紙とは着物や浴衣などの布や紙、革などに模様を染める道具です。
〜伊勢型紙を紐解くの4つの鍵〜
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1.紙で着物を染める?一つ目の鍵は素材にあり。
伊勢型紙専用の型地紙は手漉き和紙と柿渋、この二つの素材だけでできています。
紙の目を縦横交互にした和紙3枚を1枚に柿渋で貼り合わせ、天日干し、燻煙、そしてまた柿渋を塗り、天日干し、燻煙、その後半年は寝かせて店頭へ。彫師は更にそれを2〜3年は寝かせてから使います。手間と時間をかけ、彫刻しやすく染めやすい型地紙を作ります。
洗って何度も使える強さと伸縮の少なさが染めの道具には不可欠なのです。
2. 精密で美しい彫りを生み出す鍵は彫刻技法にあり。
染め型紙の中でも伊勢型紙は江戸小紋を代表する小紋柄を彫る高度な技術を特徴としています。錐彫・突彫・道具彫・縞彫の四つの彫刻技法があり、それぞれの刃物作りからの修行。彫師は主に一つの技法を生涯かけて修行します。 技法を絞って突き詰めるからこそ生まれる高い技術なのです。
3. 伊勢型紙とジャポニズム
型紙の歴史は古く、室町時代末期の職人絵図には型染めをする職人の姿が描かれています。全国の染屋で使われた型紙の一部は浮世絵と共に海を渡り、アールヌーボーやアーツアンドクラフツなどの芸術運動に多大な影響を与え、日本の文様文化を象徴する型紙のデザインが壁紙や食器など様々なものを彩りました。
3番目の鍵はその模様の力です。
4. 最後の鍵は型紙を正確につなぐ染めの技。
遠目に無地。近くで見ればその繊細な模様に驚く染め物「江戸小紋」は武士の裃が発祥。1ミリも無い小さな点を覗いて型紙を置き、駒ベラで均一な力で糊を付け柄をつないでいく息の詰まる作業を、着物一反で40〜90回も繰り返します。継ぎ目を全く感じさせない高度な染めは、流れるような所作も美しく、まさに神業です。
川下は紗張りや染めや和裁など
たくさんの熟練の技を連携させ
出来上がる一つの染物は
自然素材の力と知恵とわざの結晶です。
これからも
暮らしの中で大切に使い続けていくことで
後の世につなげたいと願っています。
2018年制作:伊勢型紙ブランディングプロジェクト